所属
日本大学松戸歯学部
専門・研究紹介
研究分野は自然人類学,中でも,人骨の形態を調べることによって過去の人々の生活を復元する研究を行っています。
私が最も関心を持っているのは,人類社会はなぜ狩猟採集社会から食糧生産社会に移行してしまったのか,ということです。骨の形態から狩猟採集民や農耕民などの生活(出生率や寿命などの人口構造,栄養状態,生業活動など)を復元すると同時に,生態人類学,文化人類学,霊長類学の研究成果を学びながらその謎を解明することが目標です。さらに女性骨盤からは,妊娠出産の様相(安産か難産かなど)もわかるので,妊娠出産子育ての側面から人類進化における社会性の進化過程も解明したいと考えています。
対象(フィールド、調査地)
研究対象は,ホモ・サピエンス・サピエンスの骨(日本列島,いずれは南北米大陸),化石人類,類人猿の骨
おもな著書/論文
- Igarashi Y., Shimizu K., Mizutaka S., Kagawa K. Pregnancy parturition scars in the preauricular area and the association with the total number of pregnancies and parturitions. American Journal of Physical Anthropology, 171: 260-274, 2019.
- Igarashi Y., Yoshida S., Kanazawa E. The prevalence and morphological types of non-carious cervical lesions (NCCL) in a contemporary sample of people. Odontology, 105: 443-452, 2017.
- Igarashi Y. Frequency of mandibular tori in prehistoric and historic Japanese island populations. Quaternary International, 405: 87-100, 2016.
- Igarashi Y., Uesu K., Wakebe T., Kanazawa E. A new method for the estimation of adult skeletal age at death from the morphology of the auricular surface of the ilium. American Journal of Physical Anthropology, 128: 324-339, 2005.
- 五十嵐由里子「考古人類学」『人口学事典』日本人口学会 (編) 丸善出版, 2018年.
- 五十嵐由里子「出産・歩行・大脳化のトリレンマを越えて 出産・育児の視点から考える人類の進化」『現代思想』青土社, 2017年.
- Igarashi, Y ”Some comments and questions to the lecture ‘Evolving women: Childbirth and infant helplessness as forces that shaped human evolution’ by Karen Rosenberg”『人種表象の日本型グローバル研究』竹沢泰子 (編) 京都大学, 2015年.
- 五十嵐由里子「下顎隆起」『古病理学事典』藤田尚 (編) 同成社, 2012年.
ひとこと
これまでホモ・サピエンス・サピエンスばかり対象にしてきました。いずれはもっと古い時代も対象にして,人類進化そのものに関わってみたいと考えていましたので,この研究グループでその機会を与えていただき,感謝しています。生態人類学,文化人類学,霊長類学の方々と一緒に研究ができることをとても楽しみにしています。